楽園
生家の畑の端から少し歩くと、雑木林になっていました。里山だったのかもしれません。
田んぼの稲刈りが終わるころになると、その雑木林が私のパラダイスになりました。小学校1、2年生の頃だったでしょうか。
天気が良い朝、登校前に雑木林の中を歩き回るのです。
人影がない早朝の林の中は、色付いた木の実を目当てに集まる小鳥たちのさえずりに満ちていました。
その中を前々から目を付けていた栗の木の下に行き、実が落ちていないかと地面に目を凝らします。
運が良いと栗だけでなく、木の根元に顔を出したキノコや実が開き始めたアケビが見つかりました。
祖父ージイさんはどこからか、松茸を採ってくることもありました。
その場所は誰にも知らされず、私も見つけることはできませんでした。
小学校3年生が終わるころ、雑木林にブルドーザーとダンプカーが来て瞬く間に大きな空き地を作りました。
私もいつの間にか栗拾いは忘れ、出来立ての大きな空き地で自転車の練習をしたり、ソフトボールで遊ぶようになりました。
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