陰翳礼讃
北ヨーロッパの長く陰鬱な冬のあと突然やってくる夏の光は、拍子抜けするほど明るく、柔らかで何の屈託もありません。
室内に差し込む光もやさしく忍び込んでくるよう。
スウェーデンに暮らしていたころ、屋内の照明もぼんやりとした反射光や拡散光が多く、最初は薄暗くて目に良くないのでは?と思いました。
でも慣れてくるとその落ち着いた明るさ(暗さ?)を心地よく感じるようになりました。遠い昔、田舎の家の廊下にあたった光が障子で拡散され、ガランとした畳の部屋をボーッと明るくしていた光を思い出したからでしょうか?
20世紀初頭のデンマークの画家、ハンマースホイの絵はその雰囲気を伝えています。夜の室内ですら、光に満ち溢れている都会の生活では忘れているやさしい明るさです。

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