秋の日の光
斜光、文字通り斜め横から差す光です。
私が生まれ育った家は、梨畑と茶畑に囲まれた田舎の一軒家でした。
空が澄んだ秋の日には、陽が傾くと日没の光が普段薄暗い家の奥の仏間まで届くことがありました。
斜光が家の中を照らし始めてから、日が沈むまでの僅かな間だけ現れるその不思議な光の世界は、子供ながら我を忘れるひとときでした。
後年、高緯度の国に住みましたが、そこでは夏の終わりから日々光は斜めになり、冬が始まるころの太陽は一日中横から差します。真夏の沈まない太陽の下で過ごした後の急激な日差しの変化とそれに伴う風景の変化は、わかっていても毎年驚かされました。
私がスタジオでライティングするとき、まずは斜光から始まるのはそんな光の原風景があるからかもしれません。
写真作品はインスタグラムにもあげています。合わせてご覧いただければ幸いです。