行方知らずの手紙

国際電話の料金がとても高かった時代、貧乏学生だった私の日本との通信手段は手紙でした。

今では考えられませんが、ひと月に一通以上の頻度で家族や友人宛に手紙を書いていました。思い出せない漢字は唯一持参した日本語の本である英和辞典のお世話になっていました。

何を書いたのか今となっては思い出せませんが、日本では決して体験できない日が暮れない夏のことや、日中でも薄暗いほとんど夜だけの冬のこととか他愛もないことだったと思います。そして同じように他愛もない季節のことなどが書かれた返事をもらっていました。

帰国まで大切に持っていた沢山の手紙はいつの間にか行方不明になりました。

写真作品はインスタグラムにもあげています。合わせてご覧いただければ幸いです。